5.クライマックスシリーズ

今まさに日本シリーズ開催中。横綱ソフトバンクとシーズン3位からクライマックスシリーズ(以下CS)を勝ち上がったDeNAとの戦いは、第1戦見る限り4試合で終わるのではと予想された方も多かった中で、第6戦までもつれる展開となり、なんとか日本シリーズらしくなったと言ってよい。

 

しかし、日本シリーズとは一体何を決める試合なのだろうか。

CSがこれをわからなくしてしまっているのは間違いない。CSが導入されるまではセパシーズン優勝チーム同士が日本一を懸けて戦うという分かり易いものだった。

メジャーリーグポストシーズンを真似て2007年にCSが導入されて以降、消化試合が減り興行的には盛り上がっていると言えるが、過去からCSのルール、CS自体の在り方については毎年議論に上がり、ルールのマイナーチェンジを実施してきたが、導入後10年以上経過した今、小手先だけでなく、ゼロベースで見直すべきではないだろうか。

 

まず現状CSの主な問題点は以下の通りである。

<現状問題点>

1) シーズン144試合の重み減(シーズン3位の球団が日本一になる可能性あり)

2) 順位が上のメリットが少ない(1stステージでは、ホームアドバンテージのみ。ファイナルステージでは、ホームアドバンテージと1勝分のみ、いずれもシーズン中のゲーム差は何のアドバンテージにもならない)

3) CS進出チームの多さ(12球団中6球団も)

4) 日程の不平等(シーズン1位の球団にとってファイナルステージまでの試合間隔が空きすぎ、試合勘が鈍る。そもそもシーズン終了とCS開始の間に無駄があるが)

 

メジャーリーグ(以下MLB)の場合、

・全30球団、シーズン162試合。

・2リーグ制、各リーグを3地区に分け、シーズンではあくまで地区優勝を、ポストシーズンでリーグ優勝を、そしてワールドシリーズでチャンピオンを決める。

ポストシーズン進出チームは30チーム中10チーム。内訳は、6チームが各地区優勝チーム、残りはワイルドカードと言い、シーズン2位以下24チーム中で勝率の高い4チーム。

 

MLBのシーズンはあくまで地区優勝チームを決めるもの、ポストシーズンはリーグ優勝、ワールドチャンピオンを決めるもの定義が明確である一方で、日本のプロ野球はシーズンでリーグ優勝を決めているにも関わらず、日本シリーズ進出チームを決めるCSが別に存在することが、上記1)の問題を生んでいる。これが全てだと考える。

だからと言ってCSを廃止する必要はない。CS自体興行的には成功しているからである。ではどうするか。

 

2)に対して、ゲーム差に応じてアドバンテージを増やすべきか。いや、勝者は試合での勝ち数で決めるべきだ。では、3)に対して、CS進出チームを各リーグ上位2チームにすべきか、1位と2位の試合になれば4)の試合間隔が空く不利も生まれない。しかし結局1)のシーズンの重み減という問題点は解決しない。小手先の改善では変わらないのである。

 

プロ野球の歴史を変えてみよう。

・各リーグを3チーム毎の2ディビジョン制にする。

・各ディビジョンの1位同士がCSで戦い、リーグ優勝を決め、リーグ優勝チーム同士が日本シリーズで戦い日本一を決める。

頭の固い、色々なしがらみの多いプロ野球界にあって簡単ではないが、思いきってどうだろうか。

 

 

 

 

4.日程〜プロ野球〜

これまで高校野球の問題点を挙げてきたが、プロ野球にも多くの問題点が存在する。

10/15の甲子園で行われたクライマックス第2戦の泥試合。まるで田んぼの中で行われているようで、シーズン中ではまず見られないシーンの連続だった。しかし、日本シリーズ進出につながるクライマックスシリーズを最悪のコンディションの中でせざるを得なかったのか、日程に問題があるのだ。

高校野球の過密日程に続くテーマで、今回はプロ野球の日程をテーマにする。

 

まず、プロ野球の大まかな年間日程は以下の通りである。

2/末〜3/末  オープン戦

3/末〜10/初 公式戦(オールスター期間含む)

10/中〜10/末 クライマックスシリーズ

10/末〜11/初 日本シリーズ

オープン戦を含めると、約8ヶ月間がプロ野球シーズンであり、その間、移動日を除きほぼ毎日試合が開催されていると言ってよい。野球ファンにとってはたまらない期間である。

 

しかし、細かく見ると、間延びした期間がある。

1.交流戦後〜リーグ戦再開までの期間(6/中旬)

2.オールスター戦期間(7/中旬)

3.シーズン終盤の消化期間(10/初)

 

1. 交流戦全日程を決められた期間内に終わらせる必要がある為、雨天中止の予備日を数日間設けている。この期間を短縮させることは難しいか。

 

2.交流戦開催によりオールスター戦の価値、興味が薄れている。この期間は見直すというよりもプロ野球以外の野球の面白さを観てもらう期間にしてはどうかと考える。このテーマについては、追って書きたいと思う。

 

3.多くの方がこの期間について言及しているが、すぐにでも見直すべきである。公式戦で中止になった試合の予備日がこの期間に設定されている。クライマックスシリーズが出来たおかげで最後の最後まで見逃せない試合は増えてきたとはいえ、ほとんどが消化試合。しかも、えっまだ試合やってるの?と思うほど、バラバラとやっている。シーズンの盛り上がりが一気に冷めてしまうほど、クライマックスシリーズまでの間隔が長い。球団間で試合間隔に差が生じ、選手のモチベーションにも影響しかねない。

そこで、

・9/末までには公式戦の全日程を終わらせる。その為にダブルヘッダー(1日に2試合)を組む。興行収入よりも日程消化を優先すべき。

・10/初から3週間でクライマックスシリーズから日本シリーズまでを一気に終わらせる。(移動日をなくせば、3週間あれば、予備日含めて消化可能)

 

この提案自体は誰もが考えるであろうありきたりの提案であるが、ファンにとってわかりやすい日程、ファンの盛り上がりを維持、集中させる日程、選手のモチベーションを維持させる日程に出来ないものだろうか。

 

 

 

3.過密日程

最近の高校野球は、140km超の速球を投げる投手も珍しくなくなってきたが、投手以上に打者のパワーや技術が向上し、打高投低の傾向と感じる。しかもここ数年の準決勝や決勝を見ると、大味な打撃戦が繰り広げられている。勝ち抜くまでの戦いで明らかに投手が疲労しすぎているのである。

過去から過密日程を指摘され、準々決勝を2日に分けたり、準々決勝と準決勝の間に休養日を導入したりしている。ところが決められた期間内に終わらせる必要がある為、雨天順延や再試合があると休養日はなくなってしまい、結局連戦になってしまう。全く改善になっていない。

 

個人的には、以下3点は必要と考える。

1) 夏選手権大会開催期間の延長
・最低でも21日間に

現状:15日間

1, 2回戦 9日、3回戦 2日、 準々決勝 1日、休養日 1日、準決勝1日、決勝1日
1,2回戦は余裕があるが、3回戦以降が過密スケジュールである
➔ 
1,2回戦 9日、休養 1日、3回戦 2日、休養 2日、準々決勝 1日、休養 2日、準決勝1日、休養 2日、決勝 1日

2) 降雨サスペンデッド制導入(降雨ノーゲーム、再試合の廃止
過去に2回降雨ノーゲーム再試合となり、計3回実施したことケースがあった。記憶に残っても勝ち上がる体力は消耗される。ただでさえ余裕のない日程の中で再試合の為に更に過密日程となり、消耗した体で試合をせざるを得なくなり、結果故障の原因につながりかねない。

3) 選手権大会会場の複数化
高校球児にとって、単に全国大会に出るではなく、”甲子園に出る”という大きな目標、モチベーションに関わることなので、慎重に進めるべきだが、これは甲子園という存在が偉大なものになりすぎているのが問題であり、これを解決する必要がある。サッカー、ラグビー、バスケットボールにしても複数会場にて試合を開催しているし、同様に高校野球全国大会も甲子園以外を利用する。例えば、プロ野球本拠地での開催。立派なプロの本拠地で開催は将来の目標にもなるであろうし、日程消化とともに過密日程の改善にはなる。

 

更には、
この議論もまた、あくまで全国大会にフォーカスされているが、2. のテーマ同様全国大会に限った話ではない。予選の過密日程も問題である。
沖縄や北海道は6月にスタートするものの、他は7月にスタート、期末試験や終業式等の関係上、7月下旬に集中している。特に参加チーム数が多い都府県では連戦連戦を余儀なくされている。予選、全国大会、年間スケジュールと合わせて日程の検討をすべきではないか。

<1年間のスケジュール>
8~11月秋季大会(都道府県、地区)→センバツの選考
11月 明治神宮大会 →優勝校の地域枠増枠
3月  センバツ
4月~6月 春季大会(都道府県、地区)→夏予選シード権
6月~7月 夏予選
8月 選手権
秋季大会はセンバツ選考、夏予選は選手権予選の為、重要な大会である一方、春季大会は夏予選シード権決定以外大して重要な大会ではない。終了すると再度同じ形式で夏予選が始まる。
・春季大会のあり方の検討(異なる形式にて検討)
・夏予選を6月からに繰り上げ土日開催、7月中旬以降の過密日程緩和
・早々と敗退したチームにとっては夏が始まる前に夏が終わる為、別の大会検討

ここまで、タイブレーク制、球数制限の是非、過密日程緩和(雨天再試合廃止)について述べたが、選手の故障を根本的になくしたいのであれば、1つを検討するのではなく、すべてを包括的に検討すべきである。(元巨人K氏が、球数制限と過密日程緩和が必要との記事を見た。この案に決して賛成ではないが、複数のルール変更をすべきである点には賛成である。
一度第3者の意見を募り、OBの古い考え、長い歴史や過去のドラマにとらわれない、新たなルール、新たな楽しみを作ってはみないか。

タイブレーク制導入(全国大会のみならず全試合)
・過密日程緩和(年間スケジュール含めた再検討)
・降雨サスペンデッド制導入(降雨ノーゲーム再試合廃止)

2.球数制限

WBCでも球数制限がルール化、プロ野球においても分業制により100球を目処に交代させるケースが増えてきた。一方で高校野球においては、数年前に3連投含め計700以上を1人で投げ、結果故障してしまって以降、球数制限導入の議論が本格化されている。

 

1人の投手による連投は、昔は普通だった。過去にプロ入りした選手で連投により肘を壊し投手を断念した選手がいたことをご存知な方も多いだろう。当時は故障のリスクを背負ってでも良く頑張った感動したと褒められたかもしれないが、今は違う。時代の変化に合わせて本格的に議論されるようになったことは良い変化と思う。

 

しかし個人的には、

1)球数制限導入には反対、むしろそれよりも変えなければならない点がある
2)球数制限を個別に議論、導入しても故障緩和の根本的解決にはならない
3)議論するのであれば、全国大会だけでなく予選を含めて議論すべき

と考える。

 

全国大会に出場する以上優勝を目指すべきで、(中には出場できただけで十分、初戦突破できれば良いと考えるチームもあるが)その為に勝てる投手を起用するのは当然で、勝てる投手が1人しかいなければその投手に負担がかかってしまうのは仕方がないと考える。しかしこの場合、選手の将来や故障リスクを考えず勝ちだけを求めて良いのか、先の野球人生を考慮し球数制限を導入すべきだとの声が挙がる。


一方で、最近の全国大会を見ると、1人完投型ではなく複数継投型になっており、指導者も勝てる投手を複数育成するようになってきた。そのような高校にとっては仮に球数制限がルール化されても対応できるが、今度は逆に選手層が厚い高校に有利になるから反対だとの声が挙がる。

 

双方の言い分は良く分かるし、プロの世界と違い非常に難しいテーマである。

問題は、この議論が"全国大会だけにフォーカスされている"点と"球数制限という1つのテーマで個別に議論されている"点である。タイブレーク制もそうだが、全国大会に導入したは良いが、では予選はどうするのであろうか。全国大会で戦う選手は49校に限るが、予選は4000校近くに上る。故障のリスクは予選の段階から潜んでいるのだ。指導者や選手にとって、全国(甲子園)に出場することにすべてを賭け、勝利にこだわり無理をしてでもエースに頼らざるを得ない状況はむしろ予選の方にあるのではないか。

故障の緩和につなげられるテーマを全てを挙げ、個別に議論するのではなく、全ての学校やチームにとって何と何の組合せが最適かを考えるべきである。

1.タイブレーク制について

まずはブログを始めるきっかけとなったタイブレーク制について


高野連は来年のセンバツから故障の緩和という理由でタイブレーク制を導入することを決定した。この導入に関しては過去から賛否両論あり、且つこの制度により故障の緩和根本的な解決になるとは思わないが、ルール変更を決断したことは一つ評価して良いのではないだろうか。

個人的には
タイブレーク導入自体賛成。(まずやってみる)
・ランナー、打順や投手決定は自由。(勝負の新たな駆け引き)

であるが、当然様々な意見があるだろう。


問題は、決まったルールに対して単に否定のみする球界OB。代表的な人として、日曜朝番組のスポーツコーナーの老人のコメント「野球を知らない人が決める」「100年以上の歴史のある競技」「ドラマが減る、楽しみが減る」。この発言を聞く度に、あぁメディアを通じてこんなことを堂々と言うなんて、相変わらず野球界は古臭いなと思う。

1点目について、

まず、「野球を知らない」の意味が「野球そのものを知らない」「ルールの背景を知らない」「野球の面白さが何かを知らない」など何を指すのか判らないが、高校野球のルールの最終決定は高野連。トップに立つ人間が天下りである組織体制については別途語ろうと思うが、本人が属していたNPBにも同様の事が言えることで、野球を知らない者をトップに据えている野球界の組織体制を1番に問題視すべきではないか。今や外部の人間が組織に属し権限をもつことは珍しくない。知らない人が決めることによって中立な立場で、且つ意見を客観的に判断できる、内部の人間にとって考えられなかった斬新なアイデアがでてくることはよくある話だ。むしろこのような「野球しか知らない」老人の意見こそ今の時代に合わない。

2点目について、

歴史のある競技であることは確かである。ただ歴史が長くなればなる分変えづらくなるものも増えていく、又、その歴史を築いてきたOBが多くなればなるほど外部の口出しも増えていく。1点目の組織体制にも言えることで、トップの天下りが歴史的に当たり前でそこの問題に気付かない、異論を言えなくなるのは歴史の中にどっぷりつかりすぎている人によくある例である。長く続いてきた歴史を思い切り変える時が来ている。

3点目について、

過去を遡れば、延長25回の決着、延長18回、延長15回再試合など沢山のドラマが生まれてきた。スポーツにおけるドラマには台本というものはなく、そのルールで選手が必死に戦い、それを観るものを魅了させて初めてドラマになるのである。楽しみやドラマが減るかどうかはやってみないと判らない。国際大会等では既に導入されているものの、タイブレーク制って何?という人が大多数だと思う。決定したことを頑なに否定するのではなく、まずはルール説明から、戦い方の変化等、新たな楽しみの可能性を語るべきではないか。

野球界についてのブログ始めました

先日、来年のセンバツ高校野球からタイブレーク制を導入するというニュースを見ました。

幼少期から野球が好きで、プロ野球中継を見たり、高校野球の予選の結果を新聞で毎日チェック、甲子園期間中は第1試合が開始する時間には必ず目が覚め1日中見たりと、日々の生活の中に野球がありました。

30代も後半になった今も好きであることに変わりないのですが、野球界とはなんと古臭い、時代や嗜好の変化に対して変わらない世界なのだろうと感じることが多くなりました。

名言で"巨人軍は永久に不滅です"がありますが、今のままでは巨人軍どころか野球界が滅亡する日も遠くないだろうなと思うのです。

そんな中、珍しく起こった高校野球タイブレーク制導入。これを機に個人的な思いを綴っていこうかなと決めたきっかけです。

どうぞよろしくお願いいたします。