2.球数制限

WBCでも球数制限がルール化、プロ野球においても分業制により100球を目処に交代させるケースが増えてきた。一方で高校野球においては、数年前に3連投含め計700以上を1人で投げ、結果故障してしまって以降、球数制限導入の議論が本格化されている。

 

1人の投手による連投は、昔は普通だった。過去にプロ入りした選手で連投により肘を壊し投手を断念した選手がいたことをご存知な方も多いだろう。当時は故障のリスクを背負ってでも良く頑張った感動したと褒められたかもしれないが、今は違う。時代の変化に合わせて本格的に議論されるようになったことは良い変化と思う。

 

しかし個人的には、

1)球数制限導入には反対、むしろそれよりも変えなければならない点がある
2)球数制限を個別に議論、導入しても故障緩和の根本的解決にはならない
3)議論するのであれば、全国大会だけでなく予選を含めて議論すべき

と考える。

 

全国大会に出場する以上優勝を目指すべきで、(中には出場できただけで十分、初戦突破できれば良いと考えるチームもあるが)その為に勝てる投手を起用するのは当然で、勝てる投手が1人しかいなければその投手に負担がかかってしまうのは仕方がないと考える。しかしこの場合、選手の将来や故障リスクを考えず勝ちだけを求めて良いのか、先の野球人生を考慮し球数制限を導入すべきだとの声が挙がる。


一方で、最近の全国大会を見ると、1人完投型ではなく複数継投型になっており、指導者も勝てる投手を複数育成するようになってきた。そのような高校にとっては仮に球数制限がルール化されても対応できるが、今度は逆に選手層が厚い高校に有利になるから反対だとの声が挙がる。

 

双方の言い分は良く分かるし、プロの世界と違い非常に難しいテーマである。

問題は、この議論が"全国大会だけにフォーカスされている"点と"球数制限という1つのテーマで個別に議論されている"点である。タイブレーク制もそうだが、全国大会に導入したは良いが、では予選はどうするのであろうか。全国大会で戦う選手は49校に限るが、予選は4000校近くに上る。故障のリスクは予選の段階から潜んでいるのだ。指導者や選手にとって、全国(甲子園)に出場することにすべてを賭け、勝利にこだわり無理をしてでもエースに頼らざるを得ない状況はむしろ予選の方にあるのではないか。

故障の緩和につなげられるテーマを全てを挙げ、個別に議論するのではなく、全ての学校やチームにとって何と何の組合せが最適かを考えるべきである。