3.過密日程

最近の高校野球は、140km超の速球を投げる投手も珍しくなくなってきたが、投手以上に打者のパワーや技術が向上し、打高投低の傾向と感じる。しかもここ数年の準決勝や決勝を見ると、大味な打撃戦が繰り広げられている。勝ち抜くまでの戦いで明らかに投手が疲労しすぎているのである。

過去から過密日程を指摘され、準々決勝を2日に分けたり、準々決勝と準決勝の間に休養日を導入したりしている。ところが決められた期間内に終わらせる必要がある為、雨天順延や再試合があると休養日はなくなってしまい、結局連戦になってしまう。全く改善になっていない。

 

個人的には、以下3点は必要と考える。

1) 夏選手権大会開催期間の延長
・最低でも21日間に

現状:15日間

1, 2回戦 9日、3回戦 2日、 準々決勝 1日、休養日 1日、準決勝1日、決勝1日
1,2回戦は余裕があるが、3回戦以降が過密スケジュールである
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1,2回戦 9日、休養 1日、3回戦 2日、休養 2日、準々決勝 1日、休養 2日、準決勝1日、休養 2日、決勝 1日

2) 降雨サスペンデッド制導入(降雨ノーゲーム、再試合の廃止
過去に2回降雨ノーゲーム再試合となり、計3回実施したことケースがあった。記憶に残っても勝ち上がる体力は消耗される。ただでさえ余裕のない日程の中で再試合の為に更に過密日程となり、消耗した体で試合をせざるを得なくなり、結果故障の原因につながりかねない。

3) 選手権大会会場の複数化
高校球児にとって、単に全国大会に出るではなく、”甲子園に出る”という大きな目標、モチベーションに関わることなので、慎重に進めるべきだが、これは甲子園という存在が偉大なものになりすぎているのが問題であり、これを解決する必要がある。サッカー、ラグビー、バスケットボールにしても複数会場にて試合を開催しているし、同様に高校野球全国大会も甲子園以外を利用する。例えば、プロ野球本拠地での開催。立派なプロの本拠地で開催は将来の目標にもなるであろうし、日程消化とともに過密日程の改善にはなる。

 

更には、
この議論もまた、あくまで全国大会にフォーカスされているが、2. のテーマ同様全国大会に限った話ではない。予選の過密日程も問題である。
沖縄や北海道は6月にスタートするものの、他は7月にスタート、期末試験や終業式等の関係上、7月下旬に集中している。特に参加チーム数が多い都府県では連戦連戦を余儀なくされている。予選、全国大会、年間スケジュールと合わせて日程の検討をすべきではないか。

<1年間のスケジュール>
8~11月秋季大会(都道府県、地区)→センバツの選考
11月 明治神宮大会 →優勝校の地域枠増枠
3月  センバツ
4月~6月 春季大会(都道府県、地区)→夏予選シード権
6月~7月 夏予選
8月 選手権
秋季大会はセンバツ選考、夏予選は選手権予選の為、重要な大会である一方、春季大会は夏予選シード権決定以外大して重要な大会ではない。終了すると再度同じ形式で夏予選が始まる。
・春季大会のあり方の検討(異なる形式にて検討)
・夏予選を6月からに繰り上げ土日開催、7月中旬以降の過密日程緩和
・早々と敗退したチームにとっては夏が始まる前に夏が終わる為、別の大会検討

ここまで、タイブレーク制、球数制限の是非、過密日程緩和(雨天再試合廃止)について述べたが、選手の故障を根本的になくしたいのであれば、1つを検討するのではなく、すべてを包括的に検討すべきである。(元巨人K氏が、球数制限と過密日程緩和が必要との記事を見た。この案に決して賛成ではないが、複数のルール変更をすべきである点には賛成である。
一度第3者の意見を募り、OBの古い考え、長い歴史や過去のドラマにとらわれない、新たなルール、新たな楽しみを作ってはみないか。

タイブレーク制導入(全国大会のみならず全試合)
・過密日程緩和(年間スケジュール含めた再検討)
・降雨サスペンデッド制導入(降雨ノーゲーム再試合廃止)